2026.9.28

    ショートドラマの作り方|企画・脚本・撮影・編集・配信までの流れと期間の目安

    ショートドラマは数十秒から数分の短い動画ですが、作る工程は映画やドラマと同じくらい多くあります。違うのは、「スマホの画面で、スクロールの途中に見られる」ことを前提に、すべての工程を設計する点です。

    この記事では、2023年11月に始動した学園ショートドラマ「ハル学園」をはじめ、自社IPと企業タイアップの両方を制作してきた株式会社HA-LUの進め方をもとに、ショートドラマの作り方を工程ごとに解説します。必要な体制や機材、脚本の型、撮影・編集のコツ、制作期間の目安、スマホだけで作る場合の注意点、外注と内製の比較まで、初めて制作する方が迷いやすい点をまとめました。

    この記事の結論

    • ショートドラマの制作は、企画・脚本・キャスティング・撮影・編集・配信の6工程で進みます。

    • 企画から最初の公開までは、1〜2か月が一つの目安です。

    • 脚本は「冒頭の数秒で止める」「途中で感情を動かす」「最後に続きを見たくさせる」の3つの役割で組み立てます。

    • どの工程も「スマホで、スクロールの途中に見られる」ことから逆算し、公開後の反応を次の話に反映していくことが成果への近道です。

    ショートドラマとは

    ショートドラマとは、TikTok、Instagramリール、YouTubeショートなどで配信される、縦型・短尺のドラマ作品です。1話あたり数十秒から数分で、恋愛、学園、仕事、家族など、日常の一場面を切り取った物語が中心です。1話で完結する作品と、数話から数十話にわたって続くシリーズ作品があります。

    企業のマーケティングでは、商品やサービスを物語の中に自然に登場させる「タイアップ型」と、企業が自社のアカウントでシリーズを配信する「アカウント運用型」の2つがよく使われます。ほかに、ショートドラマ専用アプリで1話ごとに課金して視聴する「課金型ショートドラマ」もあり、こちらは数十話の長いシリーズになるのが一般的です。

    ショートドラマ制作の流れと期間の目安

    ショートドラマは、次の6つの工程で作ります。企画から最初の公開までは1〜2か月が一つの目安です。

    工程

    主な作業

    期間の目安

    1. 企画

    目的・ターゲット・配信先の整理、コンセプト設計

    1〜2週間

    2. 脚本

    話数設計、脚本執筆、修正

    1〜2週間

    3. キャスティング・準備

    出演者決定、ロケ地、衣装・美術、撮影香盤

    1〜2週間

    4. 撮影

    縦型画角での撮影

    1〜数日

    5. 編集

    カット、テロップ、BGM、確認・修正

    1〜2週間

    6. 配信・改善

    投稿、コメント対応、数値分析、次の話への反映

    配信期間中は継続

    話数が多い場合や、著名キャストの起用、企業側の承認工程が多い場合は、これより長くなります。反対に、1話完結の短尺を少数制作する場合は、企画から公開まで数週間で進むこともあります。

    ショートドラマ制作に必要な体制と機材

    制作に関わる主な役割

    役割

    担当する仕事

    プロデューサー

    目的と予算の管理、企業や出演者との調整、全体の進行

    脚本家

    話数設計、脚本執筆、コメント欄まで見すえた構成づくり

    監督

    演出、撮影現場の指揮、カット割り

    撮影・照明・音声

    縦型画角での撮影、光の調整、セリフの録音

    キャスティング

    出演者の選定、出演条件と二次利用の調整

    編集

    カット編集、テロップ、BGM、色調整

    SNS運用

    投稿設計、コメント対応、数値分析、次の企画への反映

    少人数の制作では、1人が複数の役割を兼ねることもあります。ただし、脚本・キャスティング・運用の3つは成果への影響が大きいため、経験のある人が担当するのがおすすめです。

    主な機材

    • カメラ:縦型で撮れるカメラ、または高画質のスマートフォン

    • 照明:室内撮影では顔を明るく見せる小型ライト

    • マイク:セリフをはっきり録るためのピンマイクやガンマイク

    • スタビライザー:歩きながらの撮影で画面の揺れを抑える機材

    • 編集ソフト:テロップや字幕を入れられる動画編集アプリ・ソフト

    機材は高価なものでなくても始められます。視聴者が離れる原因になりやすいのは、画質よりも「セリフが聞き取りにくい」「顔が暗い」ことなので、まずは音と光を優先して整えるのがおすすめです。

    1. 企画:「誰のどのフィードに届けるか」を決める

    企画で最初に決めるのは、目的と配信先です。認知を広げたいのか、購買や来店につなげたいのか、TikTokなのかInstagramなのかで、尺もテンポも変わります。

    HA-LUが企画で重視しているのは、「この動画が誰の、どんなフィードに流れるか」を先に描くことです。SNSの動画は検索されて見られるより、アルゴリズムによっておすすめに流れて見られることのほうが多いからです。届けたい人が普段どんな動画を見ているかから逆算すると、ジャンルや出演者の選び方が変わります。

    企画書に入れておきたい項目

    • 目的:認知、好意形成、来店、購買、採用のどれを優先するか

    • ターゲット:年代だけでなく、どのSNSを、どんな場面で見ている人か

    • 配信先と尺:TikTok、Instagram、YouTubeショートのどこで、何秒前後で見せるか

    • コンセプト:シリーズ全体で描くテーマと、登場人物の関係

    • 話数と配信頻度:何話を、どのくらいの間隔で公開するか

    • 評価指標:再生数、視聴維持率、コメント数、クリックなど、何で成果を判断するか

    2. 脚本:最初の数秒とコメント欄から逆算する

    ショートドラマの脚本は、最初の数秒でスクロールを止めてもらえるかで勝負が決まります。説明から入らず、感情が動いている場面や、続きが気になる一言から始めるのが基本です。

    1話の構成の型

    パート

    役割

    書き方の例

    冒頭(フック)

    スクロールを止める

    告白の直前、言い争いの途中など、感情が動いている瞬間から始める

    展開

    状況を伝え、感情を動かす

    説明はセリフ1〜2行に絞り、表情と行動で伝える

    結末(引き)

    続きを見たくさせる

    答えを出し切らず、次の話につながる一言や展開で終える

    HA-LUでは脚本と同時に「視聴者が書き込みそうなコメント」も考えます。共感できるあるある、つっこみどころ、続きへの予想など、コメント欄で会話が生まれる余白を脚本に残しておくと、反応が集まり、届く範囲も広がりやすくなります。ヒットは偶然ではなく構造でつくるもの、というのがHA-LUの考え方です。

    企業タイアップの脚本で気をつけること

    企業タイアップの場合は、商品を「説明する」のではなく「物語の中で使われている」形に落とし込みます。例えばガンホー・オンライン・エンターテイメントとの「青春パズドラブ!」では、「パズドラ」がある高校生の日常と恋愛を描くシリーズとして制作しています。商品名を連呼するより、登場人物がその商品を使う理由が物語の中にあるほうが、視聴者に自然に受け入れられます。

    3. キャスティング・準備:出演者が拡散の起点になる

    ショートドラマでは、出演者の選び方が内容と同じくらい結果を左右します。演技力だけでなく、その人のフォロワーがどんな人たちか、出演者自身のアカウントでも投稿できるかも判断材料にします。

    Popteenと共同運営する「ポプるっ!」ではPopteenモデルが出演し、モデルが持つ読者との接点を、作品の拡散の起点にしています。東京ガールズコレクション静岡と制作した『静岡友だより』(2026年1月配信)は、累計490万回再生となりました。出演者と地域の両方のファンに届けた例です。

    準備では、ロケ地の許可、衣装や小道具、撮影当日の香盤表(スケジュール表)を固めます。企業案件では、商品の映り方や表現の確認もこの段階で済ませておくと、編集後の手戻りが減ります。出演者の契約では、出演料に加えて、動画を広告や別の媒体で使う「二次利用」の範囲と期間も決めておきます。

    4. 撮影:縦型画角を前提に撮る

    縦型の画面は横幅が狭いため、人物の表情と会話に集中した構図が基本になります。横型で撮って切り出すのではなく、縦型で撮る前提で立ち位置や動きを設計します。

    縦型撮影のポイント

    • 画角は9:16で撮る。書き出しは1080×1920ピクセルが一般的

    • 画面の上下にはSNSのボタンやテロップが重なるため、顔や大事な小道具は中央寄りに置く

    • 2人の会話は、横に並べるより、前後に重ねる構図や切り返しで見せる

    • 表情が伝わるよう、引きの画より寄りの画を多めにする

    • セリフは必ず別のマイクで録り、周囲の音が入りにくい場所を選ぶ

    撮影日数は、1話完結の短尺であれば1日で複数話を撮ることもあります。課金型ショートドラマのように数十話に及ぶ作品では、撮影も数日から数週間になります。

    5. 編集:音がなくても分かるように仕上げる

    SNSでは音を出さずに見られることも多いため、セリフのテロップはほぼ必須です。間(ま)を詰めてテンポを上げ、最後に次の話を見たくなる引きを残します。

    編集で確認したいこと

    • 冒頭1〜2秒に、動きか強いセリフがあるか

    • テロップが画面下のボタンや説明文と重なっていないか

    • BGMがセリフを邪魔していないか

    • 最後の数秒に、次の話につながる引きがあるか

    • 媒体ごとに尺やサムネイルを調整しているか

    企業案件では、複数の部署による確認が入ることが多いため、確認の回数と期限を最初に決めておくと進行が安定します。

    6. 配信・改善:公開してからが本番

    ショートドラマは、公開後の数字とコメントを見ながら次の話を調整できるのが強みです。見るべき指標は次の4つです。

    観点

    主な指標

    改善に使う例

    認知

    再生数、リーチ

    伸びた話の題材や出演者を次の話にも使う

    没入

    視聴維持率、完視聴率

    離脱の多い秒数を見て、冒頭やテンポを直す

    共感

    いいね、コメント、保存

    コメントで多い声を次の展開に取り入れる

    成果

    クリック、問い合わせ、購買

    商品の登場のさせ方や導線を見直す

    HA-LUの自社IP「正義と犠牲」は、2026年2月の配信開始からTikTok・Instagram・YouTube・XでSNS総再生6,500万回を突破しました(2026年7月28日発表)。公開して終わりではなく、反応を見ながら続けていくことで、アカウント全体の力が積み上がっていきます。KPIの設計は「ショートドラマ広告とは?」でも解説しています。

    シリーズで続けるための設計

    ショートドラマは、1本で終わらせずシリーズとして続けることで、視聴者が「次も見たい」と感じ、アカウントをフォローする理由が生まれます。続けやすいシリーズにするために、企画の段階で次の3つを決めておきます。

    • 登場人物と関係性:主人公と周りの人物、その関係を固定し、毎話同じ人物に会える状態をつくる

    • 舞台:学校、職場、家など、毎回の撮影で使い回せる場所を中心にする

    • 1話ごとの小さな結末と、シリーズ全体の大きな流れ:1話でも楽しめて、続けて見るとより面白くなる構成にする

    HA-LUの学園ショートドラマ「ハル学園」は、2023年11月に始動し、同じ学校を舞台に登場人物の恋や友情を描き続けています。舞台と登場人物を固定しているため、新しい話を作るたびに一から世界観を説明する必要がなく、視聴者も前の話の続きとして楽しめます。

    配信先による作り方の違い

    配信先

    作り方で意識すること

    TikTok

    おすすめに流れて初めて見る人が多いため、冒頭の数秒で状況と感情が伝わる構成にする

    Instagramリール

    フォロワーとの関係が強いため、出演者やアカウントの世界観に合ったトーンをそろえる

    YouTubeショート

    長尺の動画やチャンネルへの導線をつくり、シリーズで続けて見てもらう

    ショートドラマアプリ(課金型)

    数十話の長編になるため、各話の最後に強い引きを入れ、続きを見るために課金したくなる構成にする

    同じ作品を複数の媒体に配信する場合も、媒体ごとにサムネイル、冒頭の数秒、説明文を調整すると反応が変わります。

    HA-LUの制作事例

    作品

    種類

    ポイント

    正義と犠牲

    自社IP

    2026年2月から配信し、TikTok・Instagram・YouTube・XでSNS総再生6,500万回を突破

    青くていいんだ。(みずほフィナンシャルグループ)

    企業アカウント運用

    SNSでのシリーズ配信に加え、OOHにも展開。第1弾はSNS総再生940万回超

    青春パズドラブ!(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)

    企業タイアップ

    ゲームがある高校生の日常と恋愛を描くシリーズとして制作し、OOH・OTT広告にも展開

    静岡友だより(東京ガールズコレクション静岡)

    地域連動

    静岡を舞台にした前後編で、累計490万回再生

    制作実績の詳細は、HA-LUの制作実績一覧でご覧いただけます。

    スマホだけでショートドラマは作れるか

    スマホだけでもショートドラマは作れます。最近のスマートフォンは縦型の高画質撮影に対応しており、編集アプリでテロップやBGMも入れられます。個人のクリエイターや、社内で試しに数本作ってみたい場合には十分な方法です。

    ただし、スマホで作る場合も、音と光の対策は欠かせません。外付けのマイクと小型ライトを用意するだけで、見やすさは大きく変わります。また、撮影よりも難しいのは、脚本を書き続け、出演者をそろえ、配信と分析を続けることです。単発ではなく継続して成果を出したい場合は、この3つの体制をどうつくるかを先に考えておきましょう。

    よくある失敗と対策

    よくある失敗

    起きやすい原因

    対策

    冒頭ですぐに離脱される

    説明や自己紹介から始めている

    感情が動いている場面から始める

    広告っぽいと言われる

    商品の説明が物語より前に出ている

    登場人物が商品を使う理由を物語の中につくる

    1本目は伸びたが続かない

    シリーズの設計がなく、毎回ゼロから作っている

    登場人物と関係性を固定し、続きを見たくなる構成にする

    確認に時間がかかり公開が遅れる

    承認の回数と期限が決まっていない

    企画段階で確認フローを決めておく

    内製するか、外注するか

    スマホ1台でも撮影はできますが、脚本・キャスティング・運用の3つを続けて回すのは簡単ではありません。まず数本を外注して型をつくり、運用の一部を社内に移していく進め方もあります。

    比較項目

    内製

    外注

    費用

    外部への支払いは抑えられるが、社内の人件費がかかる

    制作費がかかるが、工数を社内で抱えずに済む

    スピード

    体制が整えば素早く出せる

    制作会社の実績と体制があれば最初から安定する

    ノウハウ

    社内に蓄積されるが、立ち上げに時間がかかる

    制作会社のノウハウを初回から使える

    出演者

    社員出演など、起用の幅が限られやすい

    キャスティングのネットワークを使える

    費用の考え方は「ショートドラマ制作費用の相場と内訳」、制作会社の選び方は「ショートドラマ制作会社おすすめ10選」で解説しています。

    よくある質問

    ショートドラマ1話の長さはどのくらいですか?

    SNSで配信するタイアップやアカウント運用では、1話あたり数十秒から2分前後が多く使われます。配信先と内容によって最適な長さは変わるため、まずは短めに作り、視聴維持率を見ながら調整するのがおすすめです。

    ショートドラマは1人でも作れますか?

    スマホと編集アプリがあれば、1人でも作ることはできます。ただし、出演者、撮影、編集、配信のすべてを1人で続けるのは負担が大きいため、継続して配信する場合は役割を分けて体制をつくるのが現実的です。

    制作期間はどのくらいかかりますか?

    企画から最初の公開まで、1〜2か月が目安です。シリーズの話数、出演者の調整、企業側の確認工程によって前後します。

    制作費用はいくらかかりますか?

    外注する場合、簡易な制作で30万〜80万円、企画・配信設計を含む標準的な構成で80万〜200万円、複数話や著名キャストを起用する本格施策で200万円以上が目安です。詳しくは「ショートドラマ制作費用の相場と内訳」で解説しています。

    ショートドラマの脚本はどう書けばよいですか?

    1話を「冒頭で止める」「展開で感情を動かす」「結末で続きを見たくさせる」の3つに分けて書くのが基本です。説明的なセリフは減らし、表情や行動で伝える場面を増やすと、短い尺でも物語が伝わります。

    まとめ

    ショートドラマの作り方は、企画・脚本・キャスティング・撮影・編集・配信の6工程で、最初の公開までは1〜2か月が目安です。どの工程も「スマホで、スクロールの途中に見られる」ことから逆算して設計し、公開後の反応を次の話に反映していくことが成果への近道です。

    ショートドラマの企画・制作・配信のご相談は、お問い合わせからお気軽にお寄せください。

    関連情報:ショートドラマ制作費用の相場と内訳/ショートドラマ制作会社おすすめ10選/HA-LUの制作実績一覧


    筆者プロフィール

    稲葉 潤(いなば じゅん)|株式会社HA-LU 取締役COO

    株式会社HA-LUの取締役COO、稲葉潤の顔写真

    2000年生まれ、埼玉県出身。青山学院大学総合文化政策学部を卒業後、大手通信系企業でプロダクトマネージャー、エンタメ系スタートアップでデザイナーを経験。2024年にショートドラマレーベル「株式会社HA-LU」を共同創業し、取締役COOに就任。現在は、縦型ショートドラマを広告コミュニケーション施策に活用するビジネスプロデュース、および都市・商業施設と連携したリアル施策を管掌し、営業部門責任者を務めています。

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