ショートドラマは数十秒から1分前後の短い動画ですが、作る工程は映画やドラマと同じくらい多くあります。違うのは、「スマホの画面で、スクロールの途中に見られる」ことを前提に、すべての工程を設計する点です。
この記事では、2023年11月に始動した学園ショートドラマ「ハル学園」をはじめ、自社IPと企業タイアップの両方を制作してきたHA-LUの進め方をもとに、ショートドラマの作り方を工程ごとに解説します。
この記事の結論
ショートドラマの制作は、企画・脚本・キャスティング・撮影・編集・配信の6工程で進みます。
企画から最初の公開までは、1〜2か月が一つの目安です。
どの工程も「スマホで、スクロールの途中に見られる」ことから逆算し、公開後の反応を次の話に反映していくことが成果への近道です。
制作の流れと期間の目安
工程 | 主な作業 | 期間の目安 |
|---|---|---|
1. 企画 | 目的・ターゲット・配信先の整理、コンセプト設計 | 1〜2週間 |
2. 脚本 | 話数設計、脚本執筆、修正 | 1〜2週間 |
3. キャスティング・準備 | 出演者決定、ロケ地、衣装・美術、撮影香盤 | 1〜2週間 |
4. 撮影 | 縦型画角での撮影 | 1〜数日 |
5. 編集 | カット、テロップ、BGM、確認・修正 | 1〜2週間 |
6. 配信・改善 | 投稿、コメント対応、数値分析、次の話への反映 | 配信期間中は継続 |
企画から最初の公開までは、1〜2か月が一つの目安です。話数が多い場合や、著名キャストの起用、企業側の承認工程が多い場合は、これより長くなります。
1. 企画:「誰のどのフィードに届けるか」を決める
企画で最初に決めるのは、目的と配信先です。認知を広げたいのか、購買や来店につなげたいのか、TikTokなのかInstagramなのかで、尺もテンポも変わります。
HA-LUが企画で重視しているのは、「この動画が誰の、どんなフィードに流れるか」を先に描くことです。SNSの動画は検索されて見られるより、アルゴリズムによっておすすめに流れて見られることのほうが多いからです。届けたい人が普段どんな動画を見ているかから逆算すると、ジャンルや出演者の選び方が変わります。
2. 脚本:最初の数秒とコメント欄から逆算する
ショートドラマの脚本は、最初の数秒でスクロールを止めてもらえるかで勝負が決まります。説明から入らず、感情が動いている場面や、続きが気になる一言から始めるのが基本です。
HA-LUでは脚本と同時に「視聴者が書き込みそうなコメント」も考えます。共感できるあるある、つっこみどころ、続きへの予想など、コメント欄で会話が生まれる余白を脚本に残しておくと、反応が集まり、届く範囲も広がりやすくなります。ヒットは偶然ではなく構造でつくるもの、というのがHA-LUの考え方です。
企業タイアップの場合は、商品を「説明する」のではなく「物語の中で使われている」形に落とし込みます。例えばガンホー・オンライン・エンターテイメントとの「青春パズドラブ!」では、「パズドラ」がある高校生の日常と恋愛を描くシリーズとして制作しています。
3. キャスティング・準備:出演者が拡散の起点になる
ショートドラマでは、出演者の選び方が内容と同じくらい結果を左右します。演技力だけでなく、その人のフォロワーがどんな人たちか、出演者自身のアカウントでも投稿できるかも判断材料にします。
Popteenと共同運営する「ポプるっ!」ではPopteenモデルが出演し、アシックス商事の「ジブンローファー」のタイアップでは2本で総再生467万回となりました(媒体資料集計)。出演者の持つ読者との接点が、そのまま作品の拡散の起点になった例です。
準備では、ロケ地の許可、衣装や小道具、撮影当日の香盤表(スケジュール表)を固めます。企業案件では、商品の映り方や表現の確認もこの段階で済ませておくと、編集後の手戻りが減ります。
4. 撮影:縦型画角を前提に撮る
縦型の画面は横幅が狭いため、人物の表情と会話に集中した構図が基本になります。横型で撮って切り出すのではなく、縦型で撮る前提で立ち位置や動きを設計します。また、画面の上下にはSNSのボタンやテロップが重なるため、大事な要素は画面の中央寄りに置きます。
撮影日数は、1話完結の短尺であれば1日で複数話を撮ることもあります。課金型ショートドラマのように数十話に及ぶ作品では、撮影も数日から数週間になります。
5. 編集:音がなくても分かるように仕上げる
SNSでは音を出さずに見られることも多いため、セリフのテロップはほぼ必須です。間(ま)を詰めてテンポを上げ、最後に次の話を見たくなる引きを残します。企業案件では、複数の部署による確認が入ることが多いため、確認の回数と期限を最初に決めておくと進行が安定します。
6. 配信・改善:公開してからが本番
ショートドラマは、公開後の数字とコメントを見ながら次の話を調整できるのが強みです。見るべき指標は次の4つです。
観点 | 主な指標 |
|---|---|
認知 | 再生数、リーチ |
没入 | 視聴維持率、完視聴率 |
共感 | いいね、コメント、保存 |
成果 | クリック、問い合わせ、購買 |
HA-LUの自社IP「正義と犠牲」は、2026年2月の配信開始からTikTok・Instagram・YouTube・XでSNS総再生6,500万回を突破しました(2026年7月28日発表)。公開して終わりではなく、反応を見ながら続けていくことで、アカウント全体の力が積み上がっていきます。KPIの設計は「ショートドラマ広告とは?」でも解説しています。
内製するか、外注するか
スマホ1台でも撮影はできますが、脚本・キャスティング・運用の3つを続けて回すのは簡単ではありません。まず数本を外注して型をつくり、運用の一部を社内に移していく進め方もあります。費用の考え方は「ショートドラマ制作費用の相場と内訳」、制作会社の選び方は「ショートドラマ制作会社おすすめ10選」で解説しています。
まとめ
ショートドラマの作り方は、企画・脚本・キャスティング・撮影・編集・配信の6工程で、最初の公開までは1〜2か月が目安です。どの工程も「スマホで、スクロールの途中に見られる」ことから逆算して設計し、公開後の反応を次の話に反映していくことが成果への近道です。
ショートドラマの企画・制作・配信のご相談は、お問い合わせからお気軽にお寄せください。
関連情報:ショートドラマ制作費用の相場と内訳/ショートドラマ制作会社おすすめ10選/HA-LUの制作実績一覧
筆者プロフィール
稲葉 潤(いなば じゅん)|株式会社HA-LU 取締役COO
2000年生まれ、埼玉県出身。青山学院大学総合文化政策学部を卒業後、大手通信系企業でプロダクトマネージャー、エンタメ系スタートアップでデザイナーを経験。2024年にショートドラマレーベル「株式会社HA-LU」を共同創業し、取締役COOに就任。現在は、縦型ショートドラマを広告コミュニケーション施策に活用するビジネスプロデュース、および都市・商業施設と連携したリアル施策を管掌し、営業部門責任者を務めています。


